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先代から受け継いだ「郷土料理を愛する心」を守り続ける こつこつ庵

1971年の創業以来、大分郷土料理を振る舞ってきた『こつこつ庵』。大分駅前の繁華街を抜けた県庁のすぐ近くという大分市の中心部に立地している。ビジネス街にあって年代物のブリキ看板が外壁一面に貼り付けられた外観は、突き抜けた存在感を醸し出している。店内に一歩足を踏み入れると、視界のいたるところにアンティークな電化製品や看板が並ぶ。さらには昔懐かしい円柱形の郵便ポストまで置かれており、他に類を見ない独特の空気感に包まれる。

創業当時のメニューは、「だんご汁」一品のみ。そこから、お客様の要望をもとにメニューを充実させてきた。根底にあるのは、大分を愛し、大分郷土料理を愛する心。店名は大分の民謡『こつこつ節』からとったものだ。

創業者である先代が第一線を退き、二代目として息子の松本宗三氏が引き継いだのは6年前。松本氏が大切にしているのは、先代がつくりあげた店の魅力、そして郷土の味を「変えない」ことだ。既に40年近い歴史があり、長年ファンの心をつかんできた『こつこつ庵』を引き継ぐことを決めると、大分に根付く「郷土料理」を背負い、守り抜く使命感を覚えたという。

一方で、郷土の味を守りつつ、時代の変化やお客様のニーズに応じて、松本氏の感性を生かした新メニューも生み出している。「椎茸ぎょろっけ」は、「コロッケ」の中身を魚のすり身にした津久見市の名物「ぎょろっけ」と、家庭料理の「ピーマンの肉詰め」をヒントに創作したもの。魚肉のすり身を大分特産の椎茸に詰めたオリジナルメニューだ。守るべきものを守りながら、新たな価値を創造することで、あらためてお客様の心をつかんでいる。

@年代物のブリキ看板が貼り付けられ、昭和にタイムスリップしたかのような外観が、ビジネス街の中で異彩を放つ。
A(上)「とり天」(600円)は、大分名物。ビールにもよく合う鶏の天ぷらだ。酢じょうゆをからませて食べる、ボリュームたっぷりの人気メニュー。(下)「琉球(関サバ)」(1,000円)は、特製のタレに浸し、ゴマとネギをまぶして食す。「かんぱち」「たい」は600 円、「関アジ」「関サバ」は1,000円。水揚げ状況に応じて「豊後アジ」「豊後サバ」になることも。
*琉球:刺身をしょうゆダレに漬けた大分郷土料理。一般的には「りゅうきゅう」と表記される。
Bいたるところで使用されているイラストは先代自らが描いた似顔絵。先代のユーモラスな一面が伝わってくる。写真は、店内に飾られている現役時代の先代の写真。

POINT1:「まずはビール」を最優先。入店から乾杯までをスピーディーに

大分と聞いて麦焼酎を思い浮かべる人は少なくない。ただ、実際のところ、一杯目は「何はともあれ、まずはビール」というお客様がやはり多い。そんな顧客心理を汲んで、松本氏はビールを出すスピードを重要視。スタッフ間でも「一杯目の提供を最優先させる」という思いを共有している。

「最初の一杯がなければ何も始まりません。それまでお客様は多少緊張していますから」と松本氏。「大分だから麦焼酎を飲まないといけないわけでもないですし、“気張らず”好きなビールを飲んでほしいですね」と続ける。

そのビールを最大限おいしく提供するために心掛けているのは、日々の丁寧なディスペンサーのメンテナンスと、ジョッキ・グラスの念入りな洗浄だという。ビール用のジョッキ・グラスと他の食器類は別々に洗い、ディスペンサーは毎日の水通し洗浄と2日に1回のスポンジ通し洗浄を徹底しているという。「注いだ際、内側に気泡がなく、飲んだ後にリング状の泡の線が残るのがベスト。『3口で飲んじゃったよ!』なんて喜ぶお客様との会話も弾みますね」(松本氏)。

さらに、メンテナンスのしやすさを目的に、席数が減ることを承知の上でレイアウトを変更し、オペレーションスペースを確保した。その念の入れようからも、樽生ビールの品質を重視する姿勢が強く感じられる。

POINT2:スタッフ間で産地情報を共有。接客時の料理説明に生かしお客様との信頼関係が出来上がる

客数はこの20年間ずっと右肩上がりで平日も地元客のほか観光客やビジネス客で賑わう。調理のスピードアップとホールスタッフの効率的な動きに重点を置く一方で、決しておろそかにしないのが、食材の産地についてのスタッフ同士の情報共有だ。

できるだけ新鮮な素材を求めて仕入れは1日3回、松本氏自ら市場に出向く。その日に仕入れた食材の提供を重視しているため、天候不良などによる水揚げ量の乱高下には難儀する。いわゆる“漬け”のように、刺身を特製のタレで提供する「琉球」のほか、握り寿司のネタとしても「関アジ」や「関サバ」が人気だが、水揚げが不安定な時期もあり「豊後アジ」や「豊後サバ」で代用せざるをえない日もある。そこで松本氏は魚の産地などを自ら説明し、スタッフ間での情報共有を徹底。接客時の料理説明に生かし、お客様からの信頼獲得につなげている。

松本氏の真摯な姿勢が、先代の思いのこもった郷土の味とユーモアがあって温かい雰囲気を持つ『こつこつ庵』を受け継ぎ、守り続けているのだ。

(上)「だんご汁」(600円)。手ごねされた小麦粉をのばした麺(だんご)に、里芋や椎茸、地鶏肉などを合わせる。途中から名産のかぼすを搾るのが大分風。
(下)「椎茸ぎょろっけ」(400円)は、魚のすり身にパン粉をまぶして揚げる津久見名物「ぎょろっけ」と家庭料理である「ピーマンの肉詰め」にヒントを得て開発したオリジナルメニュー。ポン酢によって引き立つ椎茸の風味を口いっぱいで感じながら、絶妙な食感を楽しめる。

こつこつ庵大分県大分市府内町3-8-19

松本宗三さん
1978年大分県生まれ。高校卒業後、進学のため上京。卒業後もそのまま関東で就職し、飲食業を含むいくつかの業種を経験。約10年前に大分に戻り父親の経営する『こつこつ庵』のスタッフとなる。2010年に先代の勇退と同時に法人化を行い、社長兼店長となる。

●TEL 097-537-8888
●営業時間
11:30〜14:30(L.O.14:00)
17:00〜22:30(L.O.21:30)
●定休日 日曜日
●席数 120席
★主要客層 30〜40代のビジネスマン
★客単価 3,000〜4,000円
(宴会の場合4,000〜5,000円)
★来店動機 日常的・大人数の宴会
★売り上げ比率 フード:ドリンク=4:6
■経営母体 株式会社こつこつ庵

【人気の定番メニュー】
・とり天 600円
・琉球 600円〜1,000円
・だんご汁 600円

【ドリンクメニュー】
アサヒスーパードライ 樽生 500円
アサヒスーパードライ エクストラコールド 500円
アサヒドライプレミアム豊醸 樽生 600円
アサヒ ドライゼロ 400円
竹鶴プレミアムハイボール 500円
その他、焼酎(約300種類)、チューハイ、日本酒、ソフトドリンクなど多数

※掲載されている金額はすべて税抜き価格です。

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